ふと脇を見たときに、赤いできものができているのを見つけたことはありませんか?
痛みや痒みを伴わない場合はそのまま過ごしてしまうことが多いでしょう。しかし、脇の赤いできものには病気が潜んでいる可能性もあり、そのまま見過ごしてしまうのは危険です。
普段のケアを見直すことで解消されるものもあるため、原因を知ることが重要です。では、脇にできる赤いできものができる原因とは何でしょうか?
今回は、脇に赤いできものができる原因について考えられる病気と治療方法を解説します。最近脇に赤いできものができて気になっている方はぜひ参考にしてください。
脇に赤いできものができる主な原因
脇に赤いできものができる原因としては、主に次の3つが考えられます。
- 汗や皮脂
- 不衛生
- 間違ったムダ毛のお手入れ
どの原因も普段の手入れ不足や誤った脇の手入れによって引き起こされ、これらを改善することで解消できる可能性が高いです。それぞれの原因について詳しく解説します。
汗や皮脂
脇は汗や皮脂がたまりやすい箇所の一つです。特に夏になると暑さで汗をかきやすくなり、脇に汗や皮脂がよりたまりやすくなるでしょう。脇にたまった汗や皮脂は長時間放置すると、細菌の感染によって病気を引き起こす可能性が高くなります。
そのため、脇の汗や皮脂はこまめに拭き取って清潔にすることが大切です。また、入浴時に脇の下を優しく洗うことを習慣化しましょう。
不衛生
脇の下は汚れがたまりやすいため、脇の下は丁寧に洗い、清潔に保つようにしましょう。
脇の下を洗う際にボディソープなどを使用する場合は、しっかり泡立てて脇全体を洗い流すようにします。また、汗をかいた際にはタオルで拭き取るなどして清潔な状態を保つように心がけましょう。
間違ったムダ毛のお手入れ
脇に生えるムダ毛をカミソリで処理している場合、毛の埋没などで赤いできものができることがあります。
ムダ毛処理する際に深剃りしたり逆剃りして処理してしまうと、次に毛が生えてくる際に生えてくる向きが横向きだったり、逆向きになってしまったりして毛が埋没し、異物肉芽腫などを引き起こしてしまう可能性があります。
ムダ毛の処理方法を見直すなどして毛の埋没を防ぐことで赤いできものの発生を防ぐことができるでしょう。
脇に赤いできものができた場合に考えられる主な病気
脇に赤いできものができた場合は、主に次の病気である可能性が疑われます。
- ニキビ
- 毛嚢炎(もうのうえん)
- 化膿性汗腺炎(かのうせいかんせんえん)
- あせも
- 異物肉芽腫(いぶつにくげしゅ)
どのような症状や状態なのか、それぞれの特徴や症状について解説します。
ニキビ
脇に赤いできものができる病気の一つとして、ニキビの可能性が考えられます。ニキビは皮脂の分泌が過剰になることで毛穴の先が詰まり、アクネ菌が増殖しやすい状況になることで炎症を起こしたり、膿ができたりする症状を引き起こします。
ニキビは皮脂の分泌が増えやすい顔などによく現れ、背中や胸などに広がっていくこともあります。ニキビの広がり方は個人差があり、脇にもニキビが広がることもあります。
赤いできものとして現れているニキビの場合は、アクネ菌が増殖して炎症を起こしている状態です。強い炎症を生じるようになると毛穴周辺の皮膚にも悪影響を及ぼし、ケロイド状にでこぼこが現れて傷跡が残ってしまうこともあります。
毛嚢炎(もうのうえん)
脇に赤いできものができる病気として、毛嚢炎(もうのうえん)を発症している可能性があります。毛嚢炎とは毛穴の奥にある毛を包んでいる部分に炎症が起きている状態のことです。
毛孔にできたわずかな傷や毛の閉塞などから黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などに感染することで発症します。そのため、脇を毛にカミソリで処理した際にできた傷が原因で毛嚢炎を引き起こす可能性が高いです。
毛嚢炎は症状が進行すると、硬いしこりのような膿をともなう癤(せつ)や複数の毛包に炎症が広がる癰(よう)となり、痛みや発熱をともなう体調不良が現れます。毛嚢炎は脇を清潔に保つことでこれらの感染を防げます。
化膿性汗腺炎(かのうせいかんせんえん)
脇の赤いできものは化膿性汗腺炎(かのうせいかんせんえん)の可能性もありえるでしょう。化膿性感染炎は汗腺炎/慢性的な毛包に炎症を起こす疾患で、痛みや赤みのある炎症を繰り返し引き起こすことから、アポクリン汗腺の多い部位に繰り返し発症する特徴があります。
化膿性汗腺炎は脇・乳房・お尻などに発症しやすく、日本ではお尻に発症するケースが多いようです。化膿性汗腺炎の原因は明確に解明されていませんが、遺伝的要因と環境的要因が考えられます。化膿性汗腺炎を発症した家族歴がある方は発症のリスクが高く、環境的要因としては肥満や喫煙習慣が挙げられます。
あせもの場合
脇の赤いできものとして考えられるあせもは、夏など発汗量が多い時期に汗が蒸散し、周辺組織に漏れ出ると発症します。脇は汗をかきやすく、かいた汗が蒸発しにくい箇所の一つです。そのため、あせもが発症しやすいといえるでしょう。
赤いできものとして現れるあせもは紅色あせもとされ、汗がかきやすい部位によく見られます。かゆみを伴うため、掻きむしってしまうと二次感染によってとびひや膿瘍などを併発する可能性が高くなります。
異物肉芽腫(いぶつにくげしゅ)
異物肉芽腫とは、体内で長時間にわたり異物が留まることで慢性的に炎症を起こし、肉芽腫を生じたものです。
脇の毛を処理したのちに毛が横に生えたり、逆向きに生えてきたりして皮下や皮内に侵入した場合に、異物が入り込んだときと同様の反応が起こってしまうのです。異物肉芽腫は赤みや痛みとともに小さな塊が現れます。時間が経過すると痛みは消失し、次第に硬いしこりとなります。
脇の脱毛処理をカミソリで行うことで毛が埋没しやすいため、処理方法を変更することで毛の埋没を予防できます。
脇に赤いできものができた場合の治療方法
ここまで脇に赤いできものができた場合の病気について、それぞれ解説しました。いずれも脇に汗をかいたり、毛をカミソリで処理したりすることで発生する可能性がある病気です。
もしもこれらの病気を発症した場合はどのような治療が必要なのでしょうか?病気別で行われる治療法とともに予防方法についても詳しく解説します。
ニキビの場合
ニキビの治療には、毛穴の詰まりを解消し、アクネ菌に効果がある塗り薬や飲み薬があります。赤いできものになっているニキビの治療法は、抗生物質を複数組み合わせて服用・塗布し炎症を鎮静化させる治療法があります。
脇は皮脂がたまりやすい箇所になるため、入浴時に洗浄するだけでなく、発汗した際にこまめに拭いて清潔に保つことも重要です。
毛嚢炎の場合
毛嚢炎は感染を防ぐことが重要で、患部の皮膚を清潔に保つことで症状が改善されます。また、少量の毛嚢炎の場合はアダパレン外用薬を使用し、毛穴の詰まりを解消します。
多発性の毛嚢炎や脇の毛が生える部分に生じた尋常性毛嚢の場合は、抗菌薬を服用・塗布することで炎症が改善し、赤いできものが解消されるでしょう。また、感染症予防のために抗菌薬による治療の間はカミソリによる脱毛処理は一時中断します。
毛嚢炎はニキビ同様、発症しやすい箇所を清潔にすることで発症を予防できます。加えて、カミソリなどから感染することもあるため、定期的にカミソリの刃を交換するなどの対応が必要です。
化膿性汗腺炎の場合
化膿性汗腺炎の治療法としては、抗菌薬の服用や塗布・手術による病変部の切除などが挙げられます。
化膿性汗腺炎は繰り返し病変が現れる部位について再度感染する可能性があるため、清潔を保つ必要があります。また、結核や肝炎などの感染症の罹患にも注意が必要です。
あせもの場合
あせもの治療には非ステロイド性抗炎症薬やステロイド外用薬のクリーム製剤を使用します。
あせもは汗の管理をすることで予防できます。通気性の良い衣服を身につけたり、汗をかいた場合は清潔なタオルで拭いたりして汗管内に汗がたまらないようにします。
脇は汗をかきやすい部位のため、あせもが発症しやすいです。そのため、夏場は入浴時に念入りに洗浄するなどのケアが重要です。
異物肉芽腫の場合
異物肉芽腫は異物を取り除くことによって炎症が鎮静化します。脇に異物肉芽腫が発症した場合は毛が異物とされて炎症を起こしている状態のため、横や逆向きに生えてしまった毛をしこりとともに取り除きます。
しこりを取り除く際に痛みが生じたり、しこりが大きかったりする場合の治療は局所麻酔によるしこりの切除が必要です。しこりが小さいうちに治療を行うことをおすすめします。
脇にできた赤いできものに市販薬を使っても大丈夫?
脇にできた赤いできものについては、どの病気に罹患しているのかが明確でなければ市販薬がかえって逆効果になる可能性があります。
たとえば、ニキビや毛嚢炎の場合は毛穴の詰まりを解消するため抗菌薬などを塗布するが、あせもの場合は非ステロイド性抗炎症薬やステロイド外用薬のクリーム製剤を使用します。
このように病気によって必要な薬の種類や薬の形状も異なるため、脇にできた赤いできものの原因が判明できない段階で自分で判断して市販薬を使用するのは控えましょう。
まとめ
脇に赤いできものができる原因について考えられる病気・治療方法を解説しました。
脇に赤いできものができる原因としては、汗や皮脂・洗浄不足・間違ったムダ毛処理が挙げられます。それによって、ニキビや化膿性汗腺炎などさまざまな病気をもたらす可能性が高いです。
病気に罹患した場合はそれぞれの原因に対する治療法を行うとともに、脇を清潔に保ち、汗の管理を行うことが大切です。もし脇に赤いできものができた場合は、かかりつけの皮膚科へ相談してみましょう。
参考文献