唇のふちがヒリヒリするという症状は日常生活でよくあるトラブルですが、その対処法に迷うことは多いです。唇のふちがヒリヒリする原因はさまざまで、単なる乾燥だけでなく外部刺激や、感染症、アレルギー反応などが考えられます。
今回は、唇のふちがヒリヒリする原因や関連する疾患について解説し、それに対する効果的な対処法を開設します。唇の健康を守り、快適な日常生活を送るためにぜひ参考にしてください。
唇のふちがヒリヒリする原因
まずは、日常生活ではよくあるトラブルが元で引き起こされる唇のヒリヒリの原因について解説します。
- 乾燥
- 日焼け
- 傷
- ただれ
乾燥
唇の皮膚は他の部分よりも薄く、水分を保持しにくいため乾燥しやすい傾向があります。また、唇の粘膜は乾燥や接触で炎症を起こしやすいデリケートな部分です。
季節の変わり目や冬の寒さは唇が乾燥する原因になります。加湿器を使用していても湿度が十分ではないと、唇は水分を失いやすい状態にあります。
また、外出時に冷たい空気が直接触れることや、水分摂取が十分でないことも唇を乾燥させる要因となります。このようなことが原因で唇のひび割れひび割れやヒリヒリ感を引き起こします。
冬場は水分の摂取量が少なくなりがちなので水分補給を心がけ、リップクリームなどで唇を保湿することで、乾燥からくるヒリヒリを防ぐことができます。
日焼け
唇も紫外線にさらされることで日焼けの影響を受けます。特に夏季や冬季の雪の反射光が強い環境では唇が日焼けを起こすことが多くなり、痛みやヒリヒリ感、赤みが生じます。日中はリップクリームや口紅にSPF(紫外線防止剤)が含まれているものを使用し、唇を保護することが大切です。
唇が日焼けをしてしまった場合、ほてりや炎症を抑えるためには冷やすことが効果的です。冷水でゆっくりと唇を冷やしたり、冷やしたハンカチやおしぼり、保冷剤をくるんだタオルを唇にあてたりしましょう。氷などを直接あてるのは刺激が強く、皮膚にダメージを与えてしまうため避けてください。
傷
唇のふちがヒリヒリする理由として、唇にできた小さな傷が原因となることもあります。たとえば、食べ物を噛む際に唇を噛んでしまったり、粗い歯ブラシによる刺激などが挙げられます。これらの傷が細菌などに感染すると、ヒリヒリ感や炎症が生じる可能性があります。
ただれ
唇の皮膚がただれることもヒリヒリする原因です。口唇炎や唇ヘルペスなどの感染症が原因となり、ただれた状態が続くと痛みやヒリヒリ感が生じます。感染症による場合は、適切な薬物療法が必要です。
唇のふちがヒリヒリする疾患
唇のふちがヒリヒリするという症状は、一部の疾患が原因で起こることもあります。ここでは、唇のふちがヒリヒリする主な疾患について解説します。
- 口角炎(こうかくえん)
- カンジダ性口角炎
- 口唇炎(こうしんえん)
- 口唇腫脹(こうしんしゅくびょう)
- 口唇ヘルペス
口角炎(こうかくえん)
口角炎は唇のふちや口角が赤くただれ、ヒリヒリや痛みをともなう炎症性の皮膚疾患です。皮がむけたりかさぶたになることや、深く亀裂が入るように唇が切れることもあるため、食事や会話のために口を開けると傷口や口角が裂け、痛みをともないます。口角炎は口の周囲の湿気がたまりやすい場所で起こりやすく、乾燥や唾液の刺激、ビタミンB2不足などが原因となります。
治療には保湿効果のあるリップクリームの使用やビタミンB2の摂取、炎症を抑える軟膏の使用があります。
カンジダ性口角炎
カンジダ性口角炎は、口角炎の一種で、真菌感染症の一つであるカンジダ菌が原因となります。この感染症は、唇のふちや口の両端に炎症を引き起こし、ヒリヒリ感や痛みをともないます。カンジダ菌は通常、口腔内に存在していますが、免疫力が低下したり、抗生物質の使用などによってバランスが崩れると、増殖して口角にまで炎症を引き起こすことがあります。
治療には、抗真菌薬の塗布や経口投与が行われます。
口唇炎(こうしんえん)
口唇炎は唇のふちや口の周囲に発症する炎症性の皮膚疾患で、唇のふちが赤くただれ、ヒリヒリやかゆみをともないます。唇がカサカサと乾燥を感じることもあります。
乾燥や感染症、口唇ヘルペスウイルス、食べ物の刺激や、何度も唇をなめてしまう習慣などが原因として考えられます。また、口紅やリップクリームなどが合わなくてアレルギー反応を起こし、口唇炎となることもあります。
治療には保湿剤やステロイド軟膏の使用、感染症には抗ウイルス薬の処方が必要です。
口唇腫脹(こうしんしゅくびょう)
口唇腫脹は、突発的に唇の腫れや炎症をともなう疾患で、唇のふちがヒリヒリする原因の一つとして挙げられます。この症状はアレルギー反応、感染症、虫刺され、外傷などさまざまな原因によって引き起こされます。
口唇腫脹にともなう症状は唇のふちのヒリヒリだけでなく、唇の腫れや赤み、痛みのほか、クインケ浮腫とよばれるじんましんに近い病態などが現れることがあります。
口唇腫脹の治療は原因によって異なり、アレルギー反応が原因の場合は、アレルギーを引き起こす物質を避けることや抗アレルギー薬の服用が考えられます。感染症が原因の場合は、抗生物質や抗ウイルス薬の使用が必要となる場合があります。虫刺されや外傷が原因の場合は、痛みや腫れを和らげるための処置が行われます。
口唇ヘルペス
口唇ヘルペスはヘルペスウイルスによって引き起こされる感染症で、唇のふちや口の周囲に水疱ができ、痛みやヒリヒリ感をともないます。ウイルスは⽣涯にわたって体の中に潜伏するため、ストレスや免疫力の低下が原因で再発することがあります。
食器やタオルの共用などでも感染する可能性があるため、唇のヒリヒリ感の原因が口唇ヘルペスである場合は家族への感染にも気をつける必要があります。
治療には抗ウイルス薬が使用されます。口唇ヘルペスは自然に回復する可能性がありますが、体質や免疫機能などで回復期間は異なるため、放置することは避けて早めの治療を受けることが大切です。
唇のふちがヒリヒリするときの対処法
続いては、唇のふちがヒリヒリする際の効果的な対処法について解説します。
- 薬用のリップクリームで適切にケアする
- 病院を受診する
薬用のリップクリームで適切にケアする
唇のふちがヒリヒリするとき、まずは保湿を試してみましょう。薬用のリップクリームを唇のふちに塗布し、皮膚を保護して水分を閉じ込めます。
リップクリームには保湿成分や抗炎症成分が含まれており、唇のふちの炎症やかゆみを和らげる効果があります。食後など唇の潤いがなくなったと感じたら定期的に塗布することで唇の水分状態を保ち、ヒリヒリ感を軽減することができます。
病院を受診する
唇のふちがヒリヒリするという症状は、リップクリームや市販薬、保湿をすることで改善することもありますが、症状が継続する場合は皮膚科を受診することを検討しましょう。口角炎や口唇炎、口唇ヘルペスなどの疾患が原因であれば、適切な処置を受けることでより早く症状を改善させることができます。
また、原因がわからない場合や、唇やその周辺に水疱ができたり痛みを伴う場合はなるべく早く皮膚科を受診しましょう。
唇は周りの人からも見える部分で、荒れや痛みがあると日々の食事や会話にも支障をきたします。毎日の保湿ケアを徹底した上で、必要に応じて病院で専門家の指導を受けることが症状を早く抑えるポイントです。
唇のふちのヒリヒリを予防する方法
最後に、唇のふちのヒリヒリを予防するための方法について解説します。
- 唇を舐める・噛む癖をやめる
- 口腔内・口周りを清潔に保つ
- 生活習慣を見直す
唇を舐める・噛む癖をやめる
唇をなめたり噛んだりする癖は、唇の皮膚を傷つける原因になります。また、唾液に含まれる消化酵素が皮膚を刺激してかぶれや炎症を引き起こすことがあります。唇のふちのヒリヒリを予防するためには、唇をなめたり噛む癖をやめるように心がけましょう。
口腔内・口周りを清潔に保つ
口腔内や口周りを清潔に保つことは、唇のふちのヒリヒリを予防する重要なポイントです。食事後には歯を磨いたり口をすすいで、食べ物の残りや細菌を除去しましょう。また、口腔内の健康を保つためには、歯磨きやうがいを定期的に行い、口臭や口内炎などの問題を予防することも重要です。
生活習慣を見直す
ストレスや栄養不良は、皮膚の健康に悪影響を与えます。ストレスや栄養不良が原因で皮膚が荒れると、唇にもその症状が現れ、ヒリヒリすることがあります。ストレス管理やバランスの取れた食事を心がけることで、皮膚の健康を保ち、唇のふちのヒリヒリを予防しましょう。
まとめ
唇のふちがヒリヒリする原因や関連する疾患、そして対処法について詳しく解説しました。
唇のふちがヒリヒリする原因は乾燥や日焼け、傷、口角炎、口唇炎、口唇ヘルペスなどさまざまですが、適切な対処法を知ることでその症状を和らげることができます。 薬用のリップクリームの利用や保湿など、自宅でできるケアを実践して予防に努めましょう。
唇をなめたり噛む癖をやめたり、口腔内や口周りを清潔に保ったりすることで唇の健康を維持し、ストレスや栄養のバランスを管理することも重要です。
唇のふちがヒリヒリする症状は一般的なものですが、何かしらの不調を訴える体からのサインかもしれません。症状が続く場合や痛みがある場合は、必要に応じて皮膚科で専門家の指導を受けることが大切です。
参考文献