顔の皮膚がポロポロむける原因は?対処法・考えられる病気を医師がわかりやすく解説

顔の皮膚がポロポロむける原因
この記事を監修した医師

高藤 円香 医師

自衛隊阪神病院

防衛医科大学校卒業、現在は自衛隊阪神病院勤。皮膚科専門医。

顔の皮膚がポロポロとむける現象は、乾燥やアレルギー、皮膚疾患などさまざまな原因によって引き起こされることがあります。今回は、顔の皮膚がポロポロむける原因や対処法、考えられる病気について解説します。

目次

顔の皮膚がポロポロむける場合に考えられる病気

顔の皮膚がポロポロとむける症状は、潜在的な病気のサインかもしれません。ここでは、考えられる病気と対策について解説します。

  • 乾皮症(皮脂欠乏症)
  • ぜにたむし(体部白癬)
  • 汗疱(かんぽう)
  • 接触皮膚炎
  • 尋常性乾癬

乾皮症(皮脂欠乏症)

乾皮症(皮脂欠乏症)は肌の水分と皮膚を保護する脂質が不足することで起こり、肌が乾燥し、カサカサして粉を吹いたようになる状態です。進行すると、ひび割れや皮膚の剥がれ、強いかゆみを伴うこともあります。特にすねや太もも、腰回りなどによく見られます。

ぜにたむし(体部白癬)

ぜにたむしは、カビの一種である白癬(はくせん)菌によって引き起こされる皮膚感染症です。この病気は、動物との接触や身体接触が激しいスポーツを通じて感染することが多く、自身の水虫から感染するケースもあります。感染すると、顔、体、腕、脚などに環状の赤い発疹が現れ、かゆみを伴います。

白癬菌はケラチンを栄養源としており、人の皮膚や毛、爪などに感染しやすい特性を持っています。予防には清潔さが重要で、治療には抗真菌薬が用いられます。日本では水虫や爪水虫が一般的であり、多くの人が感染症に悩まされています。

汗疱(かんぽう)

汗疱は主に手足の指、手のひら、足の裏に現れる小さな水ぶくれで、原因は不明です。水ぶくれは自然に吸収され、皮膚が剥がれることで治癒しますが、かゆみや痛みを伴う場合もあります。汗をこまめに拭く、水仕事を控える、水ぶくれを無理に触らないことが重要です。

接触皮膚炎

接触皮膚炎は、肌が特定の物質に反応して起こる炎症です。この反応は刺激性とアレルギー性の2つに分けられ、刺激性は直接的な肌の損傷により、アレルギー性は免疫系の過敏反応によって生じます。日常において接触する可能性のあるさまざまな物質、たとえば酸やアルカリ、化学溶剤、強力な石けん、特定の植物や金属などが原因となることがあります。

一度の接触だけでなく繰り返し触れることによって発症し、その後の接触で症状が現れることもあります。治療には、原因となる物質の除去、かゆみの緩和、皮膚にコルチコステロイドの塗布などがあります。

尋常性乾癬

尋常性乾癬は皮膚細胞の過剰な増殖によって特徴づけられる非感染性の疾患です。正常時の皮膚細胞の更新周期は約一ヵ月ですが、この病気ではわずか数日で新しい細胞が生まれ、古い細胞が剥がれ落ちるため、赤く盛り上がった発疹や、鱗屑(りんせつ)と呼ばれる銀白色の皮膚が現れます。

原因は遺伝的要因や免疫系の異常、ストレスなどが関与していると考えられており、治療法には、外用のステロイド薬や免疫系を調整する薬剤、紫外線照射などがあります。

乾燥により皮膚がポロポロ剥ける場合の概要

皮膚がポロポロ剥ける現象は、乾燥が主な原因です。ここでは、皮膚の乾燥とはどのような状態なのか、その原因について簡潔に解説します。

肌乾燥の状態

肌乾燥は、肌の水分量が不足し、必要な潤いを保てない状態を指します。この状態では、肌のバリア機能が弱まり、外部刺激への抵抗力が低下します。進行すると、かゆみやひび割れ、赤みといった肌トラブルが発生しやすくなります。

肌乾燥の原因

肌へのさまざまな刺激が乾燥肌の原因となります。乾燥肌の原因としてよく挙げられる点について解説します。

  • 洗顔方法
  • 冬の乾燥
  • 加齢
  • 紫外線

洗顔方法

肌乾燥を感じたときは、強力な洗顔料やゴシゴシ洗顔、熱いお湯での洗顔は避けるべきです。これらの方法は、肌に必要な皮脂や角質を過剰に除去し、バリア機能を損ない乾燥を引き起こす原因になります。肌の乾燥を防ぐには刺激の弱い洗顔料を使用し、肌をやさしく撫でるように洗うことが重要です。

冬の乾燥

冬季やエアコンによる乾燥は、肌の天敵です。乾燥した外気と室内の暖房は、肌の水分を奪い乾燥を引き起こします。乾燥した場所では肌の自然な保湿が追い付かず、かさつきや肌荒れが生じやすくなります。

乾燥した空気は皮膚だけでなく粘膜の乾燥も引き起こし、身体の不調へとつながりかねません。そのため、室内でエアコンや暖房を使用する際は、加湿器を活用し室内湿度60%〜65%を維持することが重要です。

加齢

加齢に伴う肌の乾燥は、成長ホルモンの減少と密接に関連しています。このホルモン低下は肌の新陳代謝、いわゆるターンオーバーの遅れにつながり、肌の潤いを保つ能力が低下します。生活習慣の乱れ、睡眠不足、不均衡な食事、ストレス、喫煙や飲酒、そして運動不足や便秘もターンオーバーを乱す要因となり得ます。

紫外線

紫外線は肌の乾燥を促進する外的要因です。肌表面のバリア機能は、外部からの刺激を防ぎ、肌の水分を保持する役割を担っていますが、紫外線によるダメージによりこの機能が低下すると、肌の潤いを維持することが難しくなります。

特にUVA波は肌の深部まで届き、ヒアルロン酸やコラーゲン、エラスチンといった肌の弾力と潤いに必要な成分を損ない、乾燥だけでなくしわやたるみの原因にもなります。紫外線には年間を通じて注意が必要です。

保湿不足

スキンケアの基本は、肌のバリア機能を守り水分の蒸発を防ぐことです。化粧水のみの使用では水分を肌に閉じ込められません。うるおいを保持するには、乳液やクリームなどの油分を含む保湿剤でフタをすることが重要です。

乾燥による顔の皮膚が剥ける際の対処法

乾燥によって顔の皮膚が剥けてしまった際はどのような対処すればよいでしょうか?ここでは、乾燥による顔の皮膚が剥ける際の対処法について解説します。

  • 皮膚に刺激を与えない
  • やさしく洗顔する
  • しっかり保湿を行う

皮膚に刺激を与えない

皮膚への刺激となる成分が配合されたアイテムは避け、低刺激や敏感肌用の製品を選ぶことが推奨されます。具体的には、アルコール(エタノール)、パラベン、香料、鉱物油などが配合されている製品は肌に刺激を与える可能性があるため、これらの成分が含まれていない製品を選ぶことが大切です。

やさしく洗顔する

洗顔をやさしく行うためには、まず熱すぎるお湯を避け、ぬるま湯を使用することが推奨されます。熱いお湯は肌の必要な皮脂を奪い、乾燥を引き起こす原因となります。

また、洗顔料は低刺激のものを選び、手でしっかりと泡立ててから肌に優しくなじませることが大切です。肌をゴシゴシこするのではなく、泡を使って優しく汚れを落としましょう。

洗顔後は、肌の水分をやわらかいタオルで優しく押さえるようにして拭き取り、すぐに保湿ケアを行います。

しっかり保湿を行う

保湿ケアを行う際には、まず洗顔後すぐに化粧水で肌に水分を与えることが大切です。化粧水は、肌の奥深くまで水分を浸透させ、肌を柔らかく保つ役割を果たします。

次に、乳液やクリームを使って水分の蒸発を防ぎます。乳液やクリームに含まれる油分が、化粧水で補給した水分を肌の内部に閉じ込め、外部の乾燥から肌を守ります。乾燥が気になる場合は、セラミドやヒアルロン酸など、肌の保湿に役立つ成分が含まれた製品を選ぶと良いでしょう。

特に、朝と夜の保湿ケアは肌のコンディションを整える上で非常に重要です。朝は、一日の始まりに肌を保護するために、しっかりと保湿ケアを行いましょう。夜は、一日の疲れとともに受けた肌へのダメージを回復させるために、より丁寧な保湿ケアを心がけます。

顔の乾燥を防ぐために注意すべき生活のポイント

乾燥を防ぐためには、日々の生活習慣を整えることが大切です。ここでは、肌を健康に保つための生活のポイントについて解説します。

  • こたつや電気毛布を長時間使用しない
  • 40度以下のぬるめのお湯で入浴する
  • 規則正しい生活を送る
  • バランスの良い食事を摂る
  • 適度に運動する

こたつや電気毛布を長時間使用しない

電気毛布は、使用すると暖かいですが肌の乾燥を促進するといわれます。加温により肌の水分が蒸発しやすくなり、結果として肌のカサつきや老化を加速させる恐れがあります。特に長時間の使用は体温の上昇や過度の乾燥、心臓への負担、疲労回復の妨げにもなり得るので、タイマーを活用し適切な時間で使用しましょう。

40度以下のぬるめのお湯で入浴する

適切なお風呂の温度は肌の乾燥を防ぐ上で重要といわれます。肌を保護し、自然な潤いを維持するには、お湯の温度を38〜40度のぬるま湯に保つのがおすすめです。湯船に浸かる時間も10分以内に抑えましょう。

規則正しい生活を送る

顔の乾燥を防ぐためには、規則正しい生活を送ることが非常に重要です。肌の健康は、日々の生活習慣に大きく左右されます。特に、乾燥肌の人は、肌のバリア機能が低下しているため、少しの刺激や環境の変化で肌の状態が悪化しやすいです。そのため、肌の乾燥を防ぐためには、日常生活での規則正しい習慣が重要になります。

規則正しい生活において、特に毎日同じ時間に起床し就寝することが重要です。睡眠は肌の修復や再生に不可欠であり、質の良い睡眠を確保することが肌の健康を保つ鍵となります。

バランスの良い食事を摂る

肌の健康を維持するためには、体内からの栄養補給が欠かせません。特に、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB群、オメガ3脂肪酸、タンパク質など、肌の保湿や修復に役立つ栄養素を意識的に摂取することが推奨されます。

ビタミンAは肌の再生を助け、ビタミンCはコラーゲンの生成を促進し、ビタミンEは抗酸化力により肌を外部環境から守ります。オメガ3脂肪酸は、肌のバリア機能を強化し、乾燥を防ぎます。

また、ビタミンB群や必須脂肪酸、タンパク質などの栄養素を含む食事は、新陳代謝を高め肌のバリア機能を支えます。これらの栄養素は、野菜、果物、魚、ナッツなどの食品に豊富に含まれています。

水分の摂取も忘れてはなりません。十分な水分を摂取することで、体内の循環が促進され、肌の乾燥を防ぎます。

適度に運動する

顔の乾燥を防ぐためには、日常生活での適度な運動が重要です。有酸素運動は、血行を促進し、肌への酸素供給と栄養分の循環を改善します。これにより、肌の新陳代謝が活発になり、乾燥による皮膚の剥けや粉吹き肌の予防につながります。

ウォーキングやランニングなどの軽い運動は、特別な道具や場所を必要としないため、日常生活に取り入れやすいでしょう。運動を行うことで、体内の血液循環が良くなり、肌細胞に必要な栄養が行き渡りやすくなります。

また、汗をかくことで体内の老廃物が排出され、肌の健康を保つのに役立ちます。しかし、運動後は汗による肌の乾燥も考えられるため、適切な水分補給と、洗顔後の保湿ケアを忘れずに行うことが大切です。

顔の皮膚がポロポロ剥ける場合は何科を受診すれば良い?

肌の乾燥やトラブルがひどい場合は皮膚科の医師に相談してみましょう。皮膚科では、医師の診断に基づき保湿剤や炎症を抑える塗り薬が処方されます。また、必要に応じてステロイドの外用薬が処方されることもあります。

まとめ

顔の皮膚がポロポロむけることについて解説しました。要点をまとめると次のとおりです。

  • 顔の皮膚がポロポロ剥ける症状は、乾皮症(皮脂欠乏症)、ぜにたむし、汗疱、接触皮膚炎、尋常性乾癬などの病気のサインの可能性がある
  • 顔の皮膚乾燥は、外的要因や生活習慣により引き起こされる。適切な洗顔、保湿、紫外線対策と冬場の加湿、健康的な生活は肌の潤いを保つ鍵
  • 顔の乾燥防止には、電気毛布やこたつの使用を控え、ぬるま湯での短時間入浴、規則正しい生活とバランスの良い食事、適度な運動が重要
  • 肌の乾燥やトラブルがひどい場合は皮膚科の医師に相談する

皆様の参考になれば幸いです。

参考文献

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