かかとがかゆい原因は?考えられる病気と対応策を医師がわかりやすく解説

かかとがかゆい原因は?考えられる病気と対応策
この記事を監修した医師

高藤 円香 医師

自衛隊阪神病院

防衛医科大学校卒業、現在は自衛隊阪神病院勤。皮膚科専門医。

かかとのかゆみは、日常生活においてさまざまな不快感を引き起こすことがあります。この症状の原因は多岐にわたり、水虫だけではなく乾燥や汗、肝臓の病気などが考えられます。

さらに、かかとのかゆみは一時的なものだけでなく、深刻な皮膚疾患の兆候として現れることもあります。今回は、かかとのかゆみの一般的な原因から関連する疾患、かかとのかゆみを和らげる方法まで詳しく解説します。

目次

かかとのかゆみの原因

かかとのかゆみの原因

かかとのかゆみの原因は水虫だけにとどまらず、さまざまな要因が考えられます。皮膚の乾燥や過剰な皮脂、皮膚の摩擦、アレルギー反応など、さまざまな要因がかかとのかゆみを引き起こす可能性を持っています。ここでは、かかとがかゆくなる主な原因として、乾燥、汗、水虫、肝臓の病気にフォーカスをして解説します。

乾燥

かかとのかゆみの原因の一つは乾燥です。

かかとの皮膚は体の他の部分よりも厚く、乾燥しやすい部位の一つです。乾燥したかかとは皮膚の角質が厚くなり、剥がれやすくなります。これによって皮膚表面が荒れ、かゆみを引き起こすことがあります。また、冬場などの乾燥した気候や、湿度の低い部屋で過ごすこともかかとの乾燥を促進させます。

乾燥したかかとは、ひび割れや皮膚の硬化を引き起こし、さらなるかゆみや炎症を招く可能性があります。かかとの乾燥によるかゆみを和らげるためには、適切な保湿が重要です。保湿クリームやローションをこまめに塗ることで、かかとの皮膚を柔軟に保ち、乾燥から守りましょう。

また、お風呂やシャワーでの洗い過ぎには注意しましょう。きれいにしたいからとゴシゴシと皮膚の脂分を取りすぎてしまうと、かえって乾燥しやすい状態になり逆効果となってしまいます。

も、かかとのかゆみの原因の一つとして挙げられます。

足裏やかかとは汗腺が豊富にあり、特に運動や暑い季節などで汗をかきやすい部位です。汗が皮膚表面に残留し乾燥を防ぐ一方で、人間の皮膚は過度に湿っていると角質がやわらかくなり、この状態が続くことでかゆみを引き起こすこともあるのです。

また、汗をかくことで足裏やかかとの皮膚が湿った状態になり、雑菌やカビの繁殖を招きます。これによりかかとに水虫や真菌感染症が発生し、かゆみや炎症を引き起こすことがあります。かかとのかゆみを和らげるためには、汗を適切に管理することが重要です。

毎日足を洗い、特にかかとの部分は十分に乾かすことが大切です。また、吸湿性の高い靴下や通気性の良い靴を選ぶことで、足裏の汗を抑えることができます。そのほかにも、同じ靴を履き続けないことや、中敷を吸水性の良いものに取り替えることも有効です。

汗の量が急激に増えているように感じたり、夏でもないのに汗をかくようになったなどの自覚症状がある場合は、何らかの疾患を疑うことも重要です。気付かないうちに病気にかかっていたり、ストレスや精神的な不調が原因で汗が増えることもあるため、気になる症状があるときは医師に相談するようにしましょう。

水虫

足のかゆみの原因として、最も有名なのが水虫かもしれません。水虫は足の皮膚に白癬(はくせん)菌が感染することで引き起こされる皮膚疾患であり、指だけでなくかかとにも症状が現れることがあります。

水虫の一般的な原因は、足が汗をかくなどして靴の中で蒸れるといった足の湿った環境です。これにより白癬菌が繁殖し、かかとの皮膚に感染を引き起こすことがあります。感染が進行するとかかとの皮膚が赤くなり、かゆみやひび割れの症状が現れます。 水虫によるかかとのかゆみを和らげるためには、まずは白癬菌の繁殖を抑えることが重要です。

白癬菌の繁殖を抑えるための塗り薬やスプレー、水虫パッドが市販でも売られていますが、しっかりと治したいと思う場合は皮膚科で医師の治療を受けることをおすすめします。かゆみがおさまった際も完治したと自己判断し、薬を塗ることをやめてしまわないよう、完治したと医師に診断されるまで根気強く治療を続けましょう。

また、清潔な靴下や通気性の良い靴を選び、足を清潔に保つことも効果的です。さらに足の指間を十分に乾かし、湿った状態を避けるように注意することも重要です。周囲に水虫を広めてしまわぬように、水虫の症状を感じたらすぐに皮膚科に相談するようにしましょう。

肝臓の病気

かかとのかゆみの原因の一つに、肝臓の病気が関連することはあまり知られてはいません。

肝臓は体内で重要な役割を果たしており、代謝や解毒、栄養の吸収などを担っています。しかし、肝臓が正常に機能しない場合、身体にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。

その中の一つとして、かかとのかゆみの症状があります。 肝臓の病気がかかとのかゆみを引き起こす理由として、胆汁の異常が考えられています。肝臓は胆汁を作り出し、それが胆管を通って小腸に送られます。胆汁に含まれる成分に異常がみられると、皮膚にかゆみを引き起こすことがあります。

さらに、肝臓の病気が進行すると、ビリルビンと呼ばれる物質が体内に溜まります。ビリルビンの過剰な蓄積によって皮膚がところどころ黄色く変色し(黄疸)、かゆみをともなうことがあります。

肝臓の病気によるかゆみを和らげるためには、まずは専門の医師の診断と治療が必要です。肝臓の状態を正確に把握し、適切な治療を行うことでかかとのかゆみを緩和できる場合があります。

また、栄養バランスの良い食事や適度な運動、アルコールや脂肪の摂取量の管理など、肝臓の健康を保つための生活習慣も重要です。かかとのかゆみが肝臓の病気による可能性がある場合は、早めに専門の医師に相談しましょう。

水虫以外のかかとがかゆくなる疾患

水虫以外のかかとがかゆくなる疾患

水虫以外にもさまざまな疾患がかかとのかゆみを引き起こす可能性があります。ここでは、具体的な疾患を挙げてそれぞれの原因や症状について解説します。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

掌蹠膿疱症は、手のひらや足の裏に水疱(みずぶくれ)やかゆみをともなう症状を引き起こす慢性的な皮膚疾患です。掌蹠膿疱症の初期症状として、かかとや足裏に発生する水疱が現れます。水疱が破れると、痛みや炎症をともなう傷が残ります。症状が悪化すると、歩行や日常生活に支障をきたすこともあります。

汗疱(かんぽう)

汗疱は、皮膚の表面に水疱を生じる病気で、これが破れることで痛みやかゆみにつながります。汗疱は、暑い環境や運動によって過剰な汗が発生し、それが皮膚の表面に留まることで引き起こされます。

接触皮膚炎(せっしょくひふえん)

接触皮膚炎は、一次刺激性とアレルギー性があります。一次刺激性の皮膚炎は、刺激物質が肌に接触することで誰にでも生じる可能性のある皮膚炎です。刺激物質は、洗剤、染料、化粧品、金属、昆虫の毒などさまざまで、触れた部分にのみ症状が現れることが一般的です。

一方で、アレルギー性の皮膚炎は、アレルギー物質に接触することで免疫反応を起こして生じる皮膚炎です。接触皮膚炎はかゆみ以外にも、炎症反応によって湿疹や赤み、痛みをともなうことがあります。

皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)

皮膚掻痒症は、かかとを含む身体のあらゆる部位でかゆみを引き起こす慢性的な皮膚疾患です。この疾患はさまざまな要因によって引き起こされますが、主な原因はアレルギー反応や過敏症、自己免疫疾患、ストレス、乾燥です。皮膚掻痒症はかゆみ以外にも、炎症や発疹を伴うことがあります。

乾癬(かんせん)

乾癬は、免疫系の異常によって引き起こされる慢性的な皮膚疾患で、かかとを含む身体のあらゆる部位でかゆみの症状が現れます。この疾患は、遺伝的な要因や免疫反応の異常などさまざまな要因があるといわれています。乾癬によるかかとのかゆみは、皮膚の表面に赤い斑点や白い鱗片が現れることが特徴です。

かかとのかゆみを和らげる方法

かかとのかゆみを和らげる方法

かかとのかゆみを和らげる方法はいくつかあります。日頃の生活でしっかりとケアができれば、皮膚科へ行く必要もないケースも少なくありません。適切なケア方法を知って快適な足元を維持しましょう。

角質を取り除く(やり過ぎには注意)

かかとのかゆみを和らげるために角質を取り除くことは効果的ですが、適切な方法で行うことが重要です。過剰な角質の除去はかかとの皮膚を傷つける可能性があり、逆にかゆみを悪化させる恐れがあります。適切な角質除去のためにおすすめなのが足湯です。

10分〜15分ほどの時間をかけてぬるめのお湯に浸かった足をやさしくマッサージし、角質をやわらかくして優しく除去します。足の血行も良くなり、皮膚のターンオーバーの乱れの改善にもつながるので角質除去がより効果的になります。ただし、長時間の入浴や熱いお湯はかかとの皮膚を乾燥させる原因になるので、適度な温度と時間に注意しましょう。

保湿ケアをする

かかとのかゆみを和らげるために保湿ケアはとても重要です。かかとの皮膚は非常に乾燥しやすいため、かかとの保湿はかゆみを軽減して健康な状態を保つ上で重要となります。

保湿ケアを行うためには、以下のポイントに注意して行うことが効果的です。

・適切な保湿剤を選ぶ

かかとの皮膚は厚くて乾燥しやすいため、保湿剤はより潤いを与えるものを選ぶ必要があります。セラミドやスクワランなどの成分が含まれる保湿剤を選ぶと良いでしょう。

・毎日の保湿
かかとの皮膚が乾燥しないように、特に入浴後や就寝前に保湿剤を塗ることが効果的です。

・マッサージを行う
保湿剤を塗る際には、保湿剤が浸透しやすいようにかかとをマッサージするように丁寧に塗り込みます。

清潔に保つ

かかとのかゆみを和らげるためにかかとは清潔に保ちましょう。清潔な状態を保つことで皮膚の健康を維持し、かゆみを軽減することができます。ここで、かかとを清潔に保つ主な方法を紹介します。

毎日洗う

足は汗腺が多く汗や皮脂がたまりやすいため、入浴時には石鹸やボディーソープを使用して丁寧にかかとを洗いましょう。洗った後は、汚れや余分な皮脂をしっかりと洗い流すようにしましょう。

乾燥を防ぐ

清潔な状態を保つためには、かかとをきちんと乾かすことも重要です。特に足の間やかかとの隙間など、湿気がたまりやすい部分は丁寧に乾かしましょう。タオルでしっかりと水分を拭き取り、乾燥してください。

通気性の良い靴と靴下を選ぶ

清潔な状態を保つためには、通気性の良い靴と吸湿性のある靴下を選ぶことが重要です。足が蒸れにくい靴や靴下を選ぶことで、汗や湿気を逃がし、清潔な状態を保ちます。

症状が続く場合は医師に相談する

かかとのかゆみが長期間続く場合は、皮膚科で相談しましょう。症状が続く原因はさまざまで、正しい診断と適切な治療を受けるためには専門家のアドバイスが必要です。

また、医師に相談する際には、かかとのかゆみの症状や経過、かかとに関連する他の症状などを詳細に伝えるようにしてください。

まとめ

 かかとのかゆみはさまざまな原因によって引き起こされますが、水虫や乾燥、汗などが一般的です。かかとのかゆみを和らげるためには、適切な保湿ケアや清潔な状態を保つことが重要です。

症状が続く場合は皮膚科で相談し、正しい診断と治療を受けることが大切です。適切にケアしてかかとのかゆみを軽減し、快適な足元を保ちましょう。

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