顔にかゆくない赤い斑点ができる原因は?主な病気を治療方法を医師がわかりやすく解説

顔にかゆくない赤い斑点ができる原因
この記事を監修した医師

高藤 円香 医師

自衛隊阪神病院

防衛医科大学校卒業、現在は自衛隊阪神病院勤。皮膚科専門医。

かゆみを伴わない赤い斑点が顔に出現した場合、何らかのトラブルが起きている状態を示しています。赤い斑点が顔に現れる主な原因とは何なのでしょうか?今回は、顔のかゆくない赤い斑点について解説します。

目次

顔にかゆくない赤い斑点ができる原因

まずは。顔にかゆくない赤い斑点ができる原因について、考えられる主な皮膚疾患について解説します。

  • ニキビ
  • 粉瘤
  • 血管腫
  • 日光角化症

ニキビ

顔に赤い斑点が現れ、かゆくない場合、ニキビが原因の一つとして考えられます。ニキビは、皮膚の毛穴が角質で詰まり、その結果炎症を引き起こして赤く見える状態を指します。この炎症が強まると、痛みを感じることもあります。

このような赤いニキビができた時に大切なのは、触らないようにすることです。触ると炎症を悪化させたり、皮膚に色素が沈着したり、傷跡が残る可能性があります。ニキビは進行すると白、黒、赤、黄色と色や見た目が変わることがあります。特に赤いニキビは進行した状態を示しています。

粉瘤

顔にかゆくない赤い斑点が現れた場合、粉瘤が原因の一つとして考えられます。粉瘤は皮膚の下に形成される袋状のもので、通常は新陳代謝によって排出されるべき老廃物が内部に溜まり、しこりとして現れ、これが赤く見えることもあります。

粉瘤が小さくて痛みもない場合はすぐに治療を必要としないこともあります。しかし、粉瘤は時間が経つにつれて大きくなる傾向にあり、自然に消えることもありません。

さらに、炎症を起こすことがありその際は切開が必要になることもあります。また、稀に悪性化することもあるため、適切な時期に皮膚科や形成外科などの医療機関を受診しましょう。

血管腫

血管腫も顔のかゆくない赤い斑点の原因の一つとして考えられます。血管腫は血管の異常増殖によって生じる、皮膚上に現れる赤いあざ様のものです。

血管腫には、乳児期に発生しやすい「いちご状血管腫」や、年齢を問わず見られる「老人性血管腫(ルビースポット)」といった種類があります。いちご状血管腫は、生後数週間から数ヵ月にかけて出現し、時間が経過するにつれて自然に消退していくことがある特性があります。一方、老人性血管腫は加齢とともに数が増えることがあり、若い人にも現れることがあります。

急に大きくなったり、色の変化が見られたりした場合は、悪性腫瘍の可能性も考慮して、早めに皮膚科を受診することが推奨されます。

日光角化症

顔にかゆくない赤い斑点が現れた場合、日光角化症が原因の一つとして考えられます。特に、長期にわたり紫外線の影響を受けた高齢者に多く見られる状態です。皮膚の表面がざらついた感触になり、色は薄紅色や褐色の斑点として現れます。

痛みやかゆみを感じにくいためそのまま放置されることも多い疾患ですが、日光角化症は皮膚がんの初期段階ともいえる前がん病変であり、より高い悪性度を持つ有棘細胞がんへと進行する恐れがあるため、早期の発見と治療が重要です。

顔にかゆくない赤い斑点ができた場合の治療

ここまで、顔にかゆくない赤い斑点ができる原因について解説しました。次に、それぞれの治療法について解説します。

ニキビ

ニキビは、症状の重さやタイプに応じて治療法が異なります。

初期段階

正しい洗顔方法を学び、皮脂の過剰な分泌を抑えることが大切です。洗顔は1日2回を目安に、非刺激性の洗顔料を使用することが推奨されます。

軽度から中等度

過酸化ベンゾイルやアダパレンといったサリチル酸を含むトピカル(局所)治療薬が使用されます。ニキビの原因となる細菌を殺菌し、毛穴の詰まりを解消します。肌の乾燥や刺激を感じた場合は、使用量を調整するか、別の製品に切り替える場合もあります。

中等度から重度

抗生物質を含むトピカル治療薬や、場合によっては口から摂取する抗生物質が処方されることがあります。これらは炎症を抑え、細菌の増殖を防ぎます。ただし、長期間の抗生物質使用は耐性菌発生のリスクがあるため、医師の指示を守って使用する必要があります。

重度

イソトレチノインという経口薬が有効な場合がありますが、副作用が強いため、医師の指示のもとで使用されます。この薬は皮脂の生成を大幅に減少させ、ニキビの根本的な原因に対処します。

ホルモンバランスがニキビの原因である場合

特に女性においては、ピル内服によるホルモン療法が選択肢となることもあります。

また、漢方がニキビ治療に用いられる場合もあります。これらの治療法を併せて、栄養バランスの取れた食生活や十分な睡眠、ストレスの管理などに気を付けた生活を送ることも重要です。

粉瘤

粉瘤の治療方法は、状態や炎症の有無に応じて異なります。

初期段階

抗生物質による内服治療で炎症を抑えられますが、粉瘤が大きくなり、痛みを伴うようになった場合は、より積極的な治療が必要になります。

手術

主に用いられる治療法は、切開排膿と小切開摘出術です。切開排膿では、粉瘤に溜まった膿を取り出すことで一時的に痛みを軽減しますが、袋が残るため再発の可能性があります。

これに対し、小切開摘出術では、粉瘤の袋ごと取り除くことで再発を防ぎます。また、くりヘソ抜き法という特殊な技術を用いる場合もあり、これにより袋を摘出します。

血管腫

血管腫は自然に消失することも多いため、ただちに治療の必要はありませんが、見た目の問題や成長に伴う変化により治療を望む方も少なくありません。主な治療方法は次のとおりです。

レーザー治療

いちご状血管腫や単純性血管腫に有効とされています。小さいうちに施術することで、血管腫の成長を抑え、見た目を改善します。大きな血管腫や特定の位置にある血管腫の場合は、内服治療と併用されることもあります。

内服治療

いちご状血管腫には、ヘマンジオルシロップが効果的とされています。血管腫の成長を遅らせ、小さくするために用いられますが、副作用には注意が必要です。

硬化療法

静脈奇形に対して行われることが多く、レーザーでは届かない深部の血管腫に対して効果を示します。特殊な薬剤を血管に注入し、炎症を誘発させることで血管を閉塞させます。

手術

ほかの治療法で効果が見られない場合や、特定の条件下で手術が選択されることがあります。

日光角化症

日光角化症の治療は、具体的な状況や病変の特性を総合的に評価し、患者さんにとって負担の少ない方法が選択されます。

液体窒素を使用した凍結療法

病変部分を急速に冷却し、異常細胞を壊死させる方法です。

外用薬(イミキモドクリーム)

週に3回患部にイミキモドクリームを塗り、8時間後に洗い流します。治療期間は患者さんの状態に応じて調整されます。医師の指示を守り、副作用に注意しましょう。

顔の赤い斑点がかゆい場合の原因

続いては、かゆみを伴う顔の赤い斑点の原因について解説します。

  • 肌荒れ
  • 蕁麻疹

肌荒れ

顔に赤くかゆい斑点が現れる場合、肌荒れが原因の一つとして挙げられます。加齢や過度に身体を洗うこと、乾燥などが関与していることが多いようです。特に、季節の変わり目や空気の乾燥が激しい時期には、肌の保湿バランスが崩れやすく、このような症状が現れることがあります。

肌荒れの症状としては、乾燥によるひび割れや皮膚の剥離、そして強いかゆみを伴う赤みや湿疹が挙げられます。これらの症状は、特に顔や脚のすね、脇の下といった皮膚が乾燥しやすい部位に現れやすいです。かゆみを感じる赤い斑点が顔に現れた場合、皮脂の不足や外部刺激への過敏反応によって起こる傾向にあります。

蕁麻疹

顔に赤くかゆい斑点が現れる場合、蕁麻疹が原因の一つとして挙げられます。蕁麻疹は、アレルギー反応や外部からの刺激によって皮膚が反応し、蚊に刺されたような腫れ(膨疹)が多数現れる状態を指します。

この症状は、皮膚がやわらかい顔のまぶたや口の周りに現れると、著しい腫れを伴うことがあります。症状は数時間で消えることもあれば、場合によってはより長期間にわたって持続することもあります。

蕁麻疹は、体内外のさまざまな刺激によって引き起こされることが多いため、原因を特定し避けることが、再発防止となります。直近で接触した物質や最近の体調の変化を振り返ることが重要です。症状が重い、または長引く場合には、皮膚科の診断と治療が必要です。

※皮膚科を受診しても蕁麻疹の原因が特定できない、もしくは原因がない場合もあります。
※再発防止を目的に内服薬の服用がすすめられることが一般的です。

稀にある全身性エリテマトーデス

顔に赤い斑点が現れる原因の中に、全身性エリテマトーデスという稀な病気が隠れている可能性があります。最後に、全身性エリテマトーデスについて解説します。

全身性エリテマトーデスとは

全身性エリテマトーデス(SLE)は、自己免疫性の疾患であり、体内の免疫システムが誤って自身の組織を攻撃することで臓器やシステムに炎症を引き起こします。この病気は全身に影響を及ぼすことからその名が付けられており、特に皮膚、関節、腎臓、血液細胞をはじめとした多岐にわたる部位に症状が現れます。

SLEは生殖年齢の女性に発症しやすいとされていますが、全年齢層で発症する可能性があります。原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要素、環境要因、ホルモンの影響が複合的に関与していると考えられています。

症状

発熱、全身の倦怠感、易疲労感、食欲不振などの全身症状や、関節の腫れや痛みが生じることもあり、症状は日によって異なる場所に現れることがあります。

皮膚に関しては、SLEの象徴的な症状である蝶型紅斑(バタフライ・ラッシュ)が頬に現れることがあります。このほかにも、円板状の赤い発疹や日光に晒された後に現れる日光過敏症、口内炎、脱毛など、皮膚関連の症状が多様に見られます。

内臓にも影響を及ぼすことがあり、腎臓、肺、心臓などに炎症が起こることがあります。症状は個人によって大きく異なり、一部の患者さんでは皮膚症状が主に見られることもありますが、内臓障害を伴う重症なケースもあります。

これらの炎症は生命に関わる重大な合併症を引き起こすことがあるため、皮膚科や内科、リウマチ科などがある病院での早めの受診と適切な治療が重要です。

治療

治療は症状の管理と疾患活動性の抑制を目的としています。治療法は、患者の症状や病状の重さに応じて多岐にわたります。ループス腎炎がある場合、その予後を大きく左右するため、早期に適切な治療を開始することが重要です。

ステロイド薬

SLE治療の基礎をなす重要な薬剤であり、炎症を抑えるために広範囲に使用されます。ステロイドの用量は病状の重症度によって調整され、時には副腎皮質ホルモンを高用量で短期間投与するステロイドパルス療法が適用される場合もあります。副作用に注意が必要です。

免疫抑制薬

関節症状や皮膚症状などの全身症状の改善が期待されています。ステロイドの使用量を減らすために使用されることもあります。

抗凝固療法

血栓形成のリスクが高い患者さんにおいて血栓予防のために用いられます。

SLEの治療には、症状を軽減し、患者の生活の質を向上させるための支持療法や対症療法、ヒドロキシクロンや生物学的製剤も含まれます。これには、適切な休息、健康的な食生活、日光への過度の曝露を避けることなどが含まれます。

まとめ

顔にかゆくない赤い斑点ができることについて解説しました。顔にかゆくない赤い斑点ができることの要点をまとめると次のとおりです。

  • 顔に赤い斑点があってもかゆみが感じられない場合、ニキビ(毛嚢炎)、粉瘤、血管腫、日光角化症が主な原因
  • かゆみを伴う顔の赤い斑点の原因は、肌荒れや蕁麻疹などが考えられる
  • 顔に赤い斑点が現れる原因の中に、全身性エリテマトーデスという稀な病気が隠れている可能性があり、象徴的な蝶型紅斑(バタフライ・ラッシュ)、発熱、全身の倦怠感、易疲労感、食欲不振、生命に関わる重大な合併症などのさまざまな全身症状が現れることもある
  • 顔にかゆくない赤い斑点ができ、気になる症状がある場合は皮膚科の受診を検討する

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。

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