足の裏に赤い斑点が出てかゆい原因は?主な病気・対処法・治療法を医師がわかりやすく解説

足の裏に赤い斑点が出てかゆい原因
この記事を監修した医師

高藤 円香 医師

自衛隊阪神病院

防衛医科大学校卒業、現在は自衛隊阪神病院勤。皮膚科専門医。

足の裏に赤い斑点が出現し、かゆいと感じたことはありませんか?その斑点は、アレルギー反応、感染症、あるいは特定の皮膚疾患の兆候を示している可能性があります。今回は、かゆみを伴う足の裏の赤い斑点について解説します。

目次

足の裏の赤い斑点がかゆい場合は何科を受診すれば良い?

足の裏にかゆみを伴う赤い斑点が現れた場合、皮膚科の受診を検討しましょう。皮膚科では、足裏の痒みや赤みの原因を特定するために、必要に応じて詳細な検査を実施します。

検査によって症状を引き起こしている具体的な疾患を特定し、その症状に応じた治療法を提案してもらえます。足裏の痒みや赤みが他の全身症状と関連している可能性がある場合、さらなる検査や他の診療科を紹介されることもありますが、まずは皮膚科で診察を受けましょう。

足の裏にできる斑点①:水虫

足の裏のかゆみを伴う赤い斑点には、水虫が関与している場合があります。水虫について詳しく解説します。

症状

足を中心とした症状を引き起こす水虫には3つの形態があり、それぞれに特徴的な症状が現れます。

  • 趾間(しかん)型:足の指の間が赤くなり、ふやけて皮が剥けます。この状態はしばしばジュクジュクとしたただれを伴い、強いかゆみが生じることがあります。
  • 小水疱(しょうすいほう)型:足の裏やその縁に小さな水疱が形成され、これが破れると赤く皮膚が剥けることが特徴です。
  • 角質増殖型:足の裏全体やかかとに角質が厚くなり、乾燥してひび割れや皮膚の剥離が見られます。これらの症状は白癬(はくせん)菌が皮膚に感染することで生じ、特に湿度が高い環境での発症が多く見られます。

原因

水虫は、白癬菌と呼ばれるカビ類の感染により発症する皮膚疾患です。この菌は、特に足の角質層で繁殖する傾向があります。白癬菌は、人間の皮膚や爪、髪のケラチンをエサとしており、主に人から人への接触や、感染した人が落とした皮膚片によって広がります。

白癬菌が皮膚に付着しても、すぐに感染するわけではありません。皮膚の微小な傷から侵入し、限られた環境下でのみ繁殖し、症状を引き起こします。高温多湿、そして汗や汚れが残るアルカリ性の環境は、白癬菌の成長にとって理想的な条件といわれています。

治療法

水虫治療には主に塗り薬と飲み薬の二つがあります。塗り薬にはさまざまな形態(軟膏、クリーム、液体)があります。継続的な使用で症状の多くは改善しますが、再発防止のためにも自己判断で治療を中止しないようにしましょう。

塗り薬では効果が見られない場合や爪水虫のように薬剤が角質層を透過しにくい場合には、内服薬が選択されます。内服薬の服用は、肝機能や腎機能

への影響を考慮し、定期的な血液検査が必要になります。いずれの治療も、医師の指導のもと適切に行うことが重要です。

予防法

水虫予防のために、次のことに注意しましょう。

  • 公共の浴場やジムを利用した後は、足裏と指の間を丁寧に拭いて湿気を取り除く
  • 白癬菌は暖かく湿った環境で繁殖しやすいため、蒸れを防ぐために通気性の良い靴や吸湿性の高い綿の靴下を選び、可能であれば屋内ではスリッパに履き替える
  • 足の清潔を保つことはもちろん、足に小さな傷をつけないよう注意する
  • 足の指の間が狭く蒸れやすい人は、特に指間を広げて洗い十分に乾かす

足の裏にできる斑点②:蕁麻疹

足の裏にできる斑点②:蕁麻疹

足の裏のかゆみを伴う赤い斑点には、蕁麻疹が関与している場合があります。ここでは、蕁麻疹について詳しく解説します。

症状

蕁麻疹は皮膚に急に現れる赤く盛り上がった膨疹が特徴の症状で、蚊に刺されたような外見を呈します。これらの膨疹は大きさが異なり、時には互いに融合して広範囲に広がることもあります。強いかゆみを伴い、場合によってはチクチクする感じや焼けるような感覚を感じることもあります。

蕁麻疹の大きさや出現する場所はさまざまで、顔を含む全身どこにでも発生し、時には全身を覆うほど広がることもあります。膨疹は通常、24時間以内に自然と消失し、跡を残さないことが多いようです。

原因

蕁麻疹は、体内でヒスタミンという物質が放出されることにより、毛細血管に生じる変化が原因で発生する皮膚の反応です。ヒスタミン放出は、特定の食物、薬物、植物、アレルギー反応、あるいは他の健康状態の変化によって引き起こされることがあります。そのほかの要因には、ウイルスや細菌による感染、過度の疲労やストレス、運動後の発汗、日内リズムの変動などがあります。これらの要因が単独、または複合的に影響して蕁麻疹が引き起こされることがあります。

治療法

蕁麻疹の治療には、まず潜在的な原因や悪化させる要因の特定と排除が重要です。衣服の素材変更や、発汗を促す食品・運動の制限など、刺激を避ける対策が有効とされています。また、日常生活でのストレス管理や適切なスキンケアも大切です。

症状が繰り返し現れた場合などは、主に抗ヒスタミン薬の内服が処方されます。症状が重い場合は、他の薬剤を併用することがあり、血液検査によるアレルギー原因の特定や、症状を抑えるための追加治療が必要になることがあります。

予防法

蕁麻疹の予防のために、次のことに注意しましょう。

  • 蕁麻疹を引き起こす特定の食品や物質が明らかな場合、これらを日常生活から避ける
  • 精神的ストレスが蕁麻疹の引き金となることがあるため、リラクゼーション技法を身につけたり、趣味や運動をしたりしてストレスを解消する
  • 汗をかいたらすぐにシャワーを浴びる、通気性の良い衣服を選ぶなどして、肌を清潔かつ乾燥させる
  • 良質な睡眠とバランスの取れた食事を心がけ、免疫力の低下を防ぐ
  • 身体を動かして血行を促進し、免疫システムを強化する
  • 極端な温度変化や湿度が高い環境を避ける

足の裏にできる斑点③:皮脂欠乏性湿疹

足の裏にできる斑点③:皮脂欠乏性湿疹

足の裏のかゆみを伴う赤い斑点には、皮脂欠乏性湿疹が関与している場合があります。ここでは、皮脂欠乏性湿疹について詳しく解説します。

症状

皮脂欠乏性湿疹は、皮脂膜の損失により肌の保湿機能が低下し、外部刺激に対するバリア機能も弱まることで発症します。症状としては、肌の乾燥、ひび割れ、かゆみ、皮膚の剥がれや発赤、そして特有の湿疹が現れることが挙げられます。

湿疹は、ひざ下や腕など、特定の部位に多く見られ、夕方から夜にかけて、または体温が上がった際にかゆみが強くなる傾向があります。

原因

皮脂欠乏性湿疹の主な原因は肌の乾燥です。加齢による皮脂分泌の減少、セラミドや天然保湿成分の合成量の低下がこの乾燥を引き起こします。皮膚の外側を形成する角層が水分を保つ能力を失い、外部刺激に対するバリア機能が弱まると、肌は乾燥し、かゆみや湿疹が生じやすくなります。

頻繁に体を洗ったり、エアコンによって室内湿度が低下したり、アトピー性皮膚炎を発症しているかどうかも、皮脂欠乏性湿疹の発症に影響を与えます。さらに、日常的に皮膚を洗剤や水にさらすことが多い職種(美容師、看護師)に就く人は、手に症状が現れやすい傾向にあります。

治療法

皮脂欠乏性湿疹を治すには、まずは肌をしっかり保湿することが大事です。皮膚の乾燥を防ぐ保湿薬や炎症を抑えるステロイド外用薬、さらにかゆみを軽減する抗ヒスタミン薬などが処方されます。

乾燥する季節に発症しやすいため、季節の変わり目には特に保湿を心がけ、これらの症状を繰り返している場合や自覚症状がある場合は医師に相談しましょう。

予防法

皮脂欠乏性湿疹の予防のために、次のことに注意しましょう。

  • 入浴後すぐに、保湿力の高いクリームやジェルを塗る
  • 熱すぎるお湯は避け、ぬるま湯での短時間入浴を心がける
  • 生活環境の湿度を適切に保ち、エアコンの使い過ぎに注意し、必要に応じて加湿器を使用する
  • 刺激の少ない石けんやボディーソープを使用し、肌を優しく洗う
  • 洗剤を使用する際は、綿の手袋の上からゴム手袋をはめて肌を保護する
  • 綿素材の下着や寝具を選び、肌の刺激を避る

足の裏にできる斑点④:アトピー性皮膚炎

足の裏にできる斑点④:アトピー性皮膚炎

足の裏のかゆみを伴う赤い斑点には、アトピー性皮膚炎が関与している場合があります。ここでは、アトピー性皮膚炎について解説します。

症状

アトピー性皮膚炎は、主にかゆみを伴う湿疹が現れる病気です。症状には赤みがあること、赤いブツブツ、液が出る、皮膚がボロボロに剥けるなどがあります。

時間が経つと皮膚が硬くなりゴワゴワしてくることもあり、湿疹は顔や首、手足の関節部、お腹や背中など、身体の左右対称部分によく出ます。乳児期には2ヶ月、それ以降の年齢では6ヶ月以上症状が続く場合、アトピー性皮膚炎と診断されることが多いようです。

原因

アトピー性皮膚炎は、皮膚の保護機能が弱まることで起こります。この病気の正確な原因はまだ完全にはわかっていませんが、アレルギー物質が皮膚に入りやすくなり、かゆみや炎症を引き起こすと考えられています。ストレス、免疫力の低下、アレルギー物質への反応などが発症に関わっています。

また、アトピー性皮膚炎は多因子性の病気で、遺伝的な要素(アトピー素因)と環境的な要素(アレルゲンや外部刺激)が組み合わさって発症します。個人の体質や生活環境によって症状が変わるため、一人ひとりで症状の出方が異なります。

治療法

アトピー性皮膚炎の治療は「スキンケア」「薬物療法」「悪化要因の対策」の三本柱が基本で、これらを適切に組み合わせることで症状のコントロールを目指します。具体的には、保湿剤の使用で皮膚を保湿するスキンケア、炎症を抑えるステロイド軟膏や加えてコレクチム軟膏やモイゼルト軟膏も適応になっています。

そして、悪化要因がどこにあるのか、症状や経過から判断し、排除できる要因については対策を行います。要因がひとつではないことも多いため、症状と原因に合わせた治療が選択されます。

予防法

アトピー性皮膚炎の予防のために、次のことに注意しましょう。

  • アレルギー原因物質(ダニや食品など)を特定し、可能な限り避ける
  • 毎日掃除機をかけるなどしてダニやほこりを減らし、定期的に室内の空気を入れ替える
  • 毎日の保湿を徹底し、洗浄後は速やかに保湿剤を塗り乾燥を防ぐ
  • 入浴時などではぬるま湯で優しく洗い、刺激の少ない洗浄料を使用する
  • 室内の温度と湿度を適切に保ち、皮膚の乾燥を防ぐ

かゆみを抑えたいときの対処法

かゆみを抑えるための対処法には、主に次の方法があります。

  1. 冷却:炎症や熱感を抑え、かゆみや赤みを和らげるために、保冷剤をハンカチやタオルで包み、患部に適用します。運動後の汗による気化熱も皮膚の熱を取り除きます。
  2. 汗の適切な処理:かいた汗は速やかにシャワーで洗い流すか、汗拭きシートで拭き取ります。肌に刺激の少ないアルコールフリーの製品や赤ちゃん用のお尻拭きがおすすめです。
  3. ストレス管理:ストレスがかゆみの原因となることもあるため、リラックスできる趣味や活動を見つけ、ストレスをためないようにしましょう。

まとめ

かゆみを伴う足の裏の赤い斑点について解説しました。かゆみを伴う足の裏の赤い斑点の要点をまとめると次のとおりです。

  • かゆみを伴う足の裏の赤い斑点の原因には、水虫、蕁麻疹、皮脂欠乏性湿疹、アトピー性皮膚炎などがある
  • かゆみを伴う足の裏の赤い斑点の治療法は、原因となる疾患によって異なるため、皮膚科を受診し適切に治療することが重要
  • かゆみを抑えたいときの対処法として、患部を冷却する、汗を適切に処理する、ストレスを管理することなどがある

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。

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