肌がヒリヒリ痛い時の原因と対処法は?症状別に治療法を医師がわかりやすく解説

肌がヒリヒリ痛い時の原因
この記事を監修した医師

竹内 想 医師

名古屋大学医学部附属病院

医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。 現在は主に皮膚科医・産業医として勤務。

肌がヒリヒリと痛むとき、何が原因なのか、どう対処すれば良いのか疑問が湧くことでしょう。肌のヒリヒリとした痛みは日常生活において突然現れることが多く、その原因は一概にはいえません。化粧水がしみる、日焼け後に痛みを感じる、花粉症の影響で肌が荒れるなど、状況は多岐にわたります。

今回は、肌がヒリヒリと痛む主なシチュエーションとその原因、そして具体的な対処法について詳しく解説します。専門的な用語もできるだけシンプルに説明し、誰でも簡単に理解できるよう心掛けています。肌のヒリヒリ感に悩んでいる方、その原因と対処法を知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

目次

肌に化粧水がしみてヒリヒリ痛い場合

肌に化粧水がしみてヒリヒリ痛い場合

化粧水をつけたときに、突然「痛い!」と感じたことがあるのではないでしょうか?特に乾燥する季節や疲れがたまっているときに、このような症状が起こりやすいです。では、具体的にどのような症状があり、何が原因なのでしょうか?

症状

化粧水を肌につけた瞬間、または数秒後に「ヒリヒリ」「ズキズキ」といった痛みを感じることがあります。この痛みは表面的なものから、肌の奥まで響くような感覚もあります。また、場合によっては赤みや腫れ、小さなプツプツといった他の症状が伴うこともあります。

原因

この症状で考えられる原因は次のとおりです。

肌が薄い

肌が薄いと、外部からの刺激が内部に直接影響を与えやすくなります。特に 顔の皮膚は薄いため、化粧品の成分が直接肌に作用しやすいのです。

バリア機能が不十分

肌の表面には、外部からの刺激を防ぐバリア機能があります。この機能が低下すると、肌が外部の刺激に対して非常に敏感になります。

コットンや衣服の刺激

意外と見落とされがちですが、化粧水をつける際のコットンや、その後に触れる衣服の素材も肌に刺激を与えることがあります。

化粧品による過敏反応やアレルギー

使用している化粧水に含まれる成分に対して、肌が過敏反応を示したりアレルギー反応を起こしたりしている可能性もあります。

以上のような原因が、化粧水が肌にしみる症状を引き起こしている可能性が高いです。

対処法

「化粧水がしみる」という症状に対する対処法は、原因や症状の度合いによって異なります。ヒリヒリとした痛みに伴ってかゆみも感じる場合、冷たいもので 肌を冷やすと一時的に和らげることができます。冷蔵庫で冷やしたタオルや、冷水で濡らしたガーゼを優しく押し当てると良いでしょう。ただし、冷たいものを直接肌に当てると、逆に刺激になる場合もあるので、必ず 布などでくるんで使用してください。

また、洗顔やクレンジングが強すぎると、肌のバリア機能をさらに低下させてしまいます。手の平で優しく洗う、または専用の柔らかいスポンジを使用するなど、肌に優しい方法を選びましょう。

保湿は大切ですが、どのような保湿をするかも重要です。化粧水だけでなく、 乳液やクリームも併用して、しっかりと肌の水分と油分を補給することが大切です。ただし、合わないスキンケア製品を使うと症状が悪化する場合もあるので、小さいサイズやサンプルで試してから購入することをおすすめします。

紫外線からの保護も重要です。紫外線は肌に大きなダメージを与え、バリア機能を低下させる原因にもなります。外出する際は、帽子やサングラスによって直接日光を浴びないようにしつつ、カバーしきれない部分は日焼け止めを塗ることでしっかりと紫外線対策をしましょう。

日焼けして肌がヒリヒリ痛い場合

日焼けして肌がヒリヒリ痛い場合

続いては、日焼け後の肌がヒリヒリと痛む場合の対処法について解説します。

症状

日焼け後に感じるヒリヒリ感は、肌が赤くなったり、腫れたりする場合が多いです。また、触れると痛みが増すこともあります。重症化すると、 水ぶくれができることもありますので、注意が必要です。

原因

日焼けによるヒリヒリ感の主な原因は、日光皮膚炎と日光過敏症です。

日光皮膚炎

紫外線によって肌が炎症を起こし、赤く腫れた状態になります。これは、一般的に「日焼け」と呼ばれる症状です。

日光過敏症

日光過敏症は、普通なら日焼けしない程度の強さの日光を浴びた場合でも皮膚が花瓶に反応してしまう状態を指します。 日光アレルギーとも呼ばれ、特定の薬物や化粧品が紫外線と反応して皮膚に炎症を起こします。例えば、特定の抗生物質や抗うつ薬を服用していると、日光に当たると皮膚が非常に敏感に反応することがあります。また、薬の影響がなくても日光過敏症になりやすい体質の人もいます。

対処法

日光皮膚炎が疑われる場合、まずは 日光から逃れることが重要です。屋内に避難し、日焼けした部分を冷やすために氷水や濡れたタオルを作りましょう。ただし、 氷水は直接肌に当てないように気をつけ、ビニール袋に入れてタオル等でくるんで使用してください。

ステロイドの外用薬も効果的な場合がありますが、必ず医師の指示に従って使用してください。自己判断での使用は避けましょう。

日光過敏症の場合、症状が出たらすぐに日光を避け、影に入るか、帽子や日傘で直射日光を遮断することが大切です。また、 抗ヒスタミン薬の内服によって症状を和らげる場合があります。

ただし、これも医師の診断と指示が必要です。日光過敏症は、特定の薬物や化粧品が原因で起こる場合もありますので、疑わしいアイテムがあれば、一時的に使用を控えてみてください。

花粉症で肌がヒリヒリ痛い場合

花粉症で肌がヒリヒリ痛い場合

花粉症といえば、くしゃみや鼻水、目のかゆみが一般的な症状としてよく知られていますが、実は肌にも影響を及ぼすことがあります。特に、肌がヒリヒリと痛むという症状は、花粉症の人にとってはよくある悩みの一つです。ここでは、花粉症で肌がヒリヒリ痛い場合の症状と原因について解説します。

症状

花粉症で肌がヒリヒリと痛む症状は 花粉皮膚炎と呼ばれ、主に顔や首、手などの露出が多い部分に現れます。肌が赤くなったり、小さな発疹が出ることもあります。また、症状がひどい場合には、かゆみやひび割れ、乾燥も伴うことがあります。花粉が原因のため、花粉が飛散する時期以外には症状が出ないのが特徴です。

原因

花粉皮膚炎の主な原因は、花粉が皮膚に付着し、それが肌に刺激を与えることです。特に、肌の バリア機能が低下していると、花粉による刺激が直接肌に影響を与えやすくなります。また、花粉を顔に触れる手や、花粉が付着した衣服、マスクなども刺激となる場合があります。

対処法

肌がヒリヒリと痛む場合、まずは外から帰ったら 手と顔をしっかり洗うことが重要です。これで肌に付着した花粉を取り除くことができます。次に、肌が敏感になっている時期は特に 保湿が大切です。敏感肌用のスキンケア製品を使って、肌に潤いを与えることが重要です。

また、花粉が肌に付きにくい服装を選ぶことも一つの方法です。花粉が付きにくい素材の服を選んだり、肌に直接触れる部分が少ないような服装を心がけたりしましょう。

肌がかぶれてヒリヒリ痛い場合

肌がかぶれてヒリヒリ痛い場合

何か刺激を与えるような物質に触れた際に、肌がかぶれて痛むこともあります。特に、新しい化粧品や洗剤を使い始めたとき、季節の変わり目など、肌が敏感になりやすい状況でよく起きます。

症状

かぶれは医学用語で 接触皮膚炎と呼ばれ、肌が何らかの物質に反応して炎症を起こす状態を指します。症状としては、赤みが出たり、かゆみが生じたり、時には水ぶくれができたりします。ひどい場合は、痒みとともに皮膚がただれてしまうこともあります。特に、顔や手など、外部と頻繁に接触する部位に多く見られます。

かぶれが出た場合、何が原因で肌が反応しているのかを早急に突き止めることが重要です。そして、その 原因を取り除くことで、症状は大抵改善します。

原因

肌がかぶれてヒリヒリ痛む場合、その原因は大きく分けて「刺激性接触皮膚炎」と「アレルギー性接触皮膚炎」の2つに分類されます。

刺激性接触皮膚炎

刺激性接触皮膚炎は、肌が直接何らかの 刺激物に触れた結果、炎症を起こしている状態です。たとえば、強い洗剤、アルコール、ゴム、金属などが該当します。冬場の乾燥した環境などでよく見られます。

アレルギー性接触皮膚炎

アレルギー性接触皮膚炎は、肌が特定の物質に対して アレルギー反応を示している状態を指します。この場合、一度アレルギー反応が起きると、その後も同じ物質に触れると症状が出やすくなります。アレルギー性接触皮膚炎を引き起こす物質の例としては、金属(特にニッケル)、植物、特定の保存料や香料などがあります。

どちらの皮膚炎も、一度症状が出ると非常に不快で、日常生活にも影響を及ぼす可能性があります。そのため、早めの対処が必要です。

対処法

まず、触れるべきでないものは避けることが基本です。たとえば、金属製のアクセサリーが原因として疑われる場合は、 そのアイテムを身に着けないようにしましょう。

また、かゆい場所を 手でかかないようにすることも大切です。痒みや痛みがあると、つい触りたくなりますが、それが症状をさらに悪化させる可能性があります。かいたときに傷ができればそこから雑菌が入り込む可能性もあります。

また、特に顔にかぶれが出た場合には、優しいスキンケア製品を選ぶようにしましょう。刺激の少ない化粧水やクリームを使用して、肌に優しくケアをすることが大切です。洗顔時は水もしくはぬるま湯で行うようにすると良いでしょう。

体を動かした時に肌がヒリヒリ痛い場合

体を動かした時に肌がヒリヒリ痛い場合

運動や日常生活での動きが原因で肌がヒリヒリと痛む場合、それは一般的な肌トラブルとは異なる疾患であるかもしれません。 神経障害性疼痛が原因である可能性が考えられます。

症状

神経障害性疼痛は、しびれや熱感、冷たさなど、多様な症状を伴います。この痛みは、しばしば 電気が走るような痛みと形容されることもあります。また、痛みは一定ではなく、時には急に強くなったり、逆に和らいだりすることもあります。このような症状が運動や体の動きと関連して出現する場合、神経障害性疼痛が疑われます。

痛みが特定の動きや姿勢で悪化することもあります。たとえば、長時間同じ姿勢を取っていると痛みが増す、または、特定の動作で痛みが出るといった症状があります。

原因

体を動かしたときに肌がヒリヒリと痛む場合、複数の原因が考えられます。特に神経障害性疼痛が疑われる場合では、次のような要因が影響している可能性があります。
・糖尿病
・帯状疱疹
・椎間板破裂
・腫瘍
・外傷や手術

対処法

神経障害性疼痛に対する対処法は、原因や症状の程度によって異なります。主な治療法は次のとおりです。

神経ブロック療法

神経ブロック療法は、痛みの源となる 神経に直接麻酔を注射する方法です。この治療は、痛みを即座に和らげる効果がありますが、一回で痛みが完全に消え去ることはなく、基本的に薬物療法と併用されます。

薬物療法

薬物療法では、 疼痛治療剤や抗うつ薬、鎮痛薬などが用いられます。これらの薬は、神経の働きを調整して痛みを和らげる効果があります。ただし、副作用や長期使用による依存性も考慮する必要があるため、治療の際は担当医師と綿密に相談しましょう。

帯状疱疹で肌がヒリヒリ痛い場合

帯状疱疹で肌がヒリヒリ痛い場合

帯状疱疹によって肌にヒリヒリとした痛みが発生することもあります。帯状疱疹で肌がヒリヒリ痛む場合の症状と原因、対処法について解説します。

症状

帯状疱疹の症状は、初めに痛みやかゆみが出る場合が多く、その後に赤い発疹や水疱が出現します。特に痛みは、ヒリヒリとした感じから焼けつくような痛みまで、その程度は人それぞれです。

原因

帯状疱疹の主な原因は、 水ぼうそうウイルスの再活性化によるものです。一度水痘にかかると、ウイルスは体内に潜伏し、何らかのきっかけ(ストレス、免疫力の低下など)で再活性化することがあります。

対処法

帯状疱疹は、特に 抗ウイルス薬による早期治療が重要です。 抗ウイルス薬は、ウイルスのDNA合成を阻害することで、ウイルスの増殖を抑制します。これにより、症状が早期に改善し、合併症のリスクも低減します。症状が出たらすぐに医師の診断を受け、抗ウイルス薬の処方を受けることが理想です。早ければ早いほど効果が高まります。

まとめ

肌がヒリヒリ痛い場合の症状と原因、対処法について詳しく解説しました。肌がヒリヒリと痛む瞬間、その原因は一つではありません。化粧水の刺激から日焼け、花粉症、さらには神経障害や帯状疱疹まで、多くの要因が絡み合っています。

自分の肌が何を訴えているのかを理解し、早めの対処と適切なケアが必要です。症状が出たら、まずは専門の医療機関で診断を受けることをおすすめします。それが、ご自身の肌を健やかに保つ第一歩となるでしょう。

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竹内 想

東京都

医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。 現在は主に皮膚科医・産業医として勤務。

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